小さな音と小さな絵。
極小の刺激によって感覚の閾値を下げる。
聴こえているのか、
見えているのか分からないほど小さな刺激は、
鑑賞者にその判断を求めることで錯覚を起こす。
黄色い声や重い色など、感覚間を超えて共通する現象を通様相性という。陶芸家の眼は、手によって代用可能であり、音楽家の耳は、眼によって代用可能である。共感覚は失われた能力ではない。
2つの眼と2つの耳。2つが1つに重なったときの差によって立体を捉える。イメージはそこにあるのではなく、つくられることである。
視覚は空間で混ざり合わず、それぞれの独立性を保つ一方、聴覚は空間で混ざり合い、1つになる。音のない音の作品は、展示という形式において有効である。
回転運動は様々な知覚を撹拌する。回転によって引き起こされる、視覚・聴覚・平衡感覚・時間感覚の目眩。それらを混ぜ合わせることで領域間を飛び越える。