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日常生活の中で欠かすことのできない傘。
それは、雨や日光から私たちを守ってくれるだけではなく、今やファッションの一部として自分自身を表現するものとしても活躍している。
今回は、そんな日常に深く根付いた傘を見直し、新たな傘の形を検証した。

Contents

傘[簦]:かさ、からかさ

雨・雪・日光など、上から降下してくるものに使う用具。それらが、体に当たらないよう頭上に広げ、差しかざして使う。

主に、竹や金属の骨に紙または布を張り、開閉ができるようにしたものである。

History-歴史-

傘の歴史は古く、その起源は約4000年前に遡る。最初の傘は、日光を避ける為の日傘として誕生した。古代エジプトやギリシャなどの壁画や彫刻などでその姿が確認されている。その当時は、開閉はできず、パラソルの様な見た目をしていた。

開閉式の傘が登場したのは、13世紀イタリアである。その後、18世紀に入って現在の構造の傘が開発された。

日本への伝来は、詳しくはわかっていないが日本書紀に傘に関する記述がみられることから、少なくとも1400年以上前には伝わっていたと見られる。

また、傘といえば雨傘というイメージが強いが、傘自体は日傘をメインに発展してきた。傘は英語で"umbrella"だが、この"umbra"は元々影という意味がある。そこからみても、傘というものが日傘として誕生したということが読み取れるのではないだろうか。

実際、世界においては雨の日に傘を指す文化というものはあまり見られない。

Kind of umbrella-傘の種類-

  • 洋傘

    主に、竹や金属の骨に布を貼ったもの。
    →日傘:日光を避ける為の傘。布にUV加工を施したものが主流となっている。
    →雨傘:雨や雪を避ける為の傘。布に、防水加工がされていることが多い。
    →折畳傘:持ち運びやすくする為、小さく折り畳むことのできる傘。誕生は、1928年のドイツである。
    →ビニール傘:コンビニなどでよく見られる安価な傘。透明、または半透明な見た目をしている為、視界がクリアである。現在ではデザイン性の高いものが多数登場しており、日傘のビニール傘というものも存在している。1958年に日本で誕生した。
  • 和傘・番傘

    竹や木材の骨に、和紙をはったもの。中国から伝来したもので、当時は開閉ができない"天蓋"と呼ばれるものであった。室町時代前後に、現在と同じ用途で使用される和傘・番傘が登場した。

Umbrella's culture-傘に関する文化-

傘は昔から、日常と深く関わっていた。そのため、傘にまつわる文化は数多く存在する。

  • 相合傘・相傘・最合い傘

    二人で一つの傘を共有する行為。
    日本では、雨に濡れぬ様に互いに肩を寄せあう情景から恋人同士、またはそれと等しい関係のものが行うという印象が強い。
    中国や韓国には、"差し掛け傘"と呼ばれる相合傘によく似た文化があるが、これは従者が主人に差し掛けるものである。
    →また日本では相合傘のイラストは、恋人同士への揶揄としても用いられる。
  • 傘寿

    80歳を表す言葉。由来は、傘の略字である「仐」を分解すると八十になることから。
  • からかさ小僧

    「からかさお化け」ともいわれ、一般的には一つ目に一本足、赤い大きな舌という姿で描かれる。古い和傘が化けたものとされる妖怪・付喪神の一種である。
  • 核の傘

    核保有国に働く抑止の機能を非核保有国に及ぼす状態を指す言葉。
  • 日傘効果

    雲を日傘に例え、雲が日光を遮ることにより地球の気温が下がること。

About design-デザインについて-

傘といえば、雨の印象が強いが実際は日傘として発展してきた部分に着目した。
しなりが強い木材を骨に用い、UV加工を施した2種類のビニール生地を張っている。

この作品は、晴れの日に雨を感じるという趣旨のものである。

雨が降ると憂鬱になりがちだが、私たちが生きていく上で雨はなくてはならない存在である。実際、乾燥地域では雨は喜ばしい信仰の対象であり生活する上で最も重要な要素の一つだ。そんな雨を、身近に感じられるものとして制作した。

8面あるうちの1面だけに模様の入ったビニールを使用し、日の下で差した際に足元に水の様な影が映る様になっている。日常のふとした瞬間に、雨や水を身近に感じて貰えれば幸いだ。

How to make umbrella-傘の作り方-

準備物

傘の骨(木製)、アクリルパイプ(支柱用)、ゴムキャップ、針金、ビニール

製作過程

  1. 傘の骨を2種類準備し、穴をあける。
  2. ゴムキャップの穴を支柱が通るように拡張して、外側に骨が入るための切れ込みを入れる。
  3. 針金で固定していく。
  4. 持ち手部分の長さを調整し、曲げる。
  5. ビニールをつける。

おわりに

日常に深く根付いた傘。その姿は4000年以上変化がなく、その美しい姿を保っている。 この機会に、ぜひ傘という文化や道具を見直し、その世界観を感じてみてほしいと思う。